5月(1980) 英国セキセイ協会

G.S. ビンクス著

私の理想とするセキセイインコ


1977年6月、英国セキセイ協会(以下BSと省略記)の記述文書に基づいた”理想セキセイインコ”のモデル絵を正当だと受け入れる協定の崩壊が起こっていることを考えて、私は、モデルが行き詰まっている事による穴を完全な一連の絵で埋めることを決心した。と言うのはその時の”理想”なるものが、実際の輪郭を示していないと言う事実に基づいている。さらに、斜めの前から見た図がないために、セキセイインコの飼育に入った初心者が鳥はどのくらいの幅を持っていないといけないか、が見当付けられなかった。1978年3月の”ケージ・アンド・アビアリーバード”誌に私自身の記事が載り、私の考えていることを正確に示し、しばらく唯一の上質のスケッチになっていたが、それでもまだ、必要な実体(Substance)を持っていなかった。


1979年7月に、私は、南アフリカ、ローデシアへ招待された。ヨハネスブルグ近くのルードポートでのショーの後、私は、南アフリカ審査委員会の非常に重要な会議に参加するよう招待され、彼らが、標準として考えようとしていたモデルについて私の意見を求められた。このモデルは、ダーバンに住む、ロニー・ウィルコック氏による一連の仕事の一部で、もちろん非常に立派な努力である。この点について、読者諸兄が、この訪問後に、”ゲージ・アンド・アブアリーバード”誌に載せた以前の記事を思い出されるよう喚起したい。その中で、南アフリカの鳥の質は高く、写真入で、もし南アフリカのノーマルライトグリーン♂の最高鳥が、我々の最高のショーに出品されても、疑いなく最初の7羽に入り入賞であり、審査員によっては、首席だってなるだろうと言うことを記述した。だから、質について確かな”目”を持った、経験豊富な人たちと一緒にやっているのは、私にとって賢明なことだった。


この会議から戻ってから、ロニー・ウィルコックスと私とで、この件に関して連絡を保ち私の提出した絵からモデルを作ろうということを決定した。これらは、BSへ賛成を求めて提出される。戻ってから、私の父の協力を得た。彼は、科学者だが、若いころ、芸術や技術的図画に非常に興味を持っていたのだった。まず、白紙から始めて、完全な絵を創造するのは、大変なことで、しかも、BS理事会に提出しようと考えたので、1980年5月が締め切りとなった。合計4人が絵を描くのに480時間の仕事にもあがった。”理想”は1ミリの単位でも完全であるべきで、特に頭の輪郭辺りの鉛筆の線の太さがすべてを台無しにする点を留意したことを、諸者諸兄は、忘れないでほしい。
肩から下にかけては、私の絵は、かなり真っ直ぐに描いていて、このあたりは、多くの絵の描き方があり、オーストラリアの標準などは、”完全な羽毛”と”ニンジン型”を描いている。私の父は、40〜50枚の英国のセキセイのスライドを影写し、羽根の点模様をなぞった。その結果、比較してみると、各鳥ですべて異なっていた。だから、我々は折衷案を描く事とし、その結果描いた絵のうち、3/4部分(斜め前から見た図)と輪郭図(側面)のみ本紙に投稿するので絵を参照されたい。後方および真正面から見た図もまた描き、その正確さは、鳥をまわすと、各羽毛の一枚一枚が次の一枚一枚と重なる程度に正確を期している。この一連の四枚の絵の目的は、モデル作成屋、陶器製造工場あるいは、芸術家が、BSメンバーの利益のために複製できるためである。
1979年10月のBS理事会で、新しい”理想”を作る仕事が進行中であることを公表する羽目になった。その会議の中で、エリック・ピーク氏も,輪郭(側面)と斜め前(3/4部分)からの図について彼自身の芸術的印象を表現する仕事をやっていることを知り、氏が近づいて来た。その結果、元の絵と、ジム・モファメット、ミュアー&クロスマン所有の2羽の素晴らしい鳥の写真を元にしての、会員、モデル作成者、芸術家などに代わって行う共同の非常に大変な大仕事となった。
1980年5月のカーディフで開かれた会議で各理事は、新しい標準の3ページの実例を伴った上質の碩版印刷の新しい提案を受け取った。また、エリック・ピークの輪郭の芸術的印象(すばらいかった)もあった。しかし、英国の習慣によって、ロニー・ウイルコックスによって作られたモデルは、悲劇的にも、ずっとそのままにされっぱなしとなった。たぶん、それは、薬(毒?)でも含んでいるとでも思ったのだろうか、とにかく、その時は、そうとしか考えられず、大きな失望だったと言えば充分であろう。

私は、ここで、チームを代表して、1980年5月のBS理事会に提出した”実例”を引用したい。

私が数年に渡り、理想図の”弱点”としてきた点により、種々の問題が生じてきた。

a)誰もが、BSの標準として記述してある文章を引用する時、別の心象、解釈をするようになっている。その結果として、総合優勝がバラバラになった。各々は、もちろんそれ自身として良い鳥なのだが、各々が似ても似つかないと言うことがしばしば起こるようになってきた。

b)理想として用いてきた絵では、新人が、チャンピオンのレベルで、頭の幅、顔の幅として何が必要かという疑念をつかむことが出来なかった。

c)私自身の意見では、その通りの鳥を作ってもBSクラブショウーでは、決して総合優勝とならないだろう。


絵の理想図として必要な点

a)すべての理想図は、2つの本質的な特徴を描き出さねばならない。その2つとは、美と個性(character)である。

b)実に立派な、BSの文章となっている標準(すなわち、これこれの鳥が良いと書いてある標準である)と、その言葉の協会としての解釈(すなわち、絵)が密接に関係していなければならない。

c)その絵となった”理想”から、公認された審査員を通じて、BSが求めているものは、何かを、最初の時点から、新人の心の中に叩き込めるようでなければならない。

d)その理想図は、次にくる10年で作出されそうな鳥よりも良い鳥で、後わずかの所で届かない程度のもので無ければならない。

e)輪郭(側面図)、斜め前の両方とたぶん正面からの図が描かれなければならない。

f)工芸(技術)的図面をまず描かねばならない。その後で、モデル作成屋、芸術家、あるいは陶器製造業者が会員のために、複製することが出来る。

g)もっとも大切なのは・・・・・・・実際存在する素晴らしい自然の特徴を基に創造せねばならない。そうして、実際に作出しようと愛好家の手に委ねることが出来るのだ。


絵についての考察

これらの図は、約480時間にも及ぶ労力から得られたもので、各図面は、BSクラブショーとか他のショーとかの最も優れた鳥たちを描いた、8〜15枚の詳しいスケッチから作成したものである。

もし、制定委員会、理事会が望むのならば、この”理想”に到達するのに用いた写真を提出する用意がある。それを見れば、その特徴ががっちり結合して、この図面に結実したことがわかる。
”技術のあるブリーダーが自然界から、この理想を再現する機会を持つだろう” またこれらの写真(実物)から見れば、著者は、我々の鳥が示す、イエローとバフの両極端の中間に位置することを付記する。
我々の提案するモデル図をじっくり吟味するならば、もし輪郭(側面)図が受け入れられると、羽毛も含めて、すべての特徴が、鳥を回転するに連れて隣の絵とぴったり一致することが明らかになる。輪郭図に続くどの図も1mmの正確さで、その輪郭(側面)図と重ねあわすことが出来る。私は、協会の指定する寸法は、輪郭(側面)図と斜め前からの図にのみ関係する気がする。もちろん、寸法をすべて無視することも出来るが、もし、将来像などを作る必要が出た時、必要となろう。ダーバンのR・ウイルコックス氏が、いくつかの予備的望象に続いて、最初のモデルを作るとき、これらの詳細な寸法が必要となった。


輪郭(側面)図と斜め前からの図面

前に説明した通り、これらの、図面はBSの文章形となっている標準を基にして、生命を吹き込んだら実際どうなるかと比較しながら作った。結果として、私は、角を削った立方体を、我々すべての望む完全な”ニンジン”型の上に乗せ、その立方体が、首、肩が露骨にならないようにニンジンの上に自然に収まるように心がけた。今日の入賞するショーバードは、すべてこの体裁を持っている。

目の位置について注意を喚起したい

それは、嘴の端から、目を通って、頭の後ろに至る仮想の線との相対的位置に付いてであるこの線に沿って目は、1/3の距離にあるように思うが、目の後方が深くなるので、実際は1/4の距離となる。多くの経験豊富な愛好家は、一級の鳥が、ショーで総合優勝するには、この深さを持っていることが必要だと気づいている。

次に、”下を見下ろす容姿”について述べる。

この特徴を持った鳥は、これだけで、上を見上げるような感じの鳥に対してハッキリと一線を画する特徴となる。真正面から鳥を見た時、鳥が充分な頭部の幅を持っているなら目は見えないはずである。この幅は斜め前からの図画でハッキリ描かれているし、輪郭(側面)図でも明らかになろう。正面の額に相当する部分の盛り上がりは、すでにショーにおいて充分に見られるようになって来ている。上方に吹き上げて、丸く、だから目と頭のてっぺんとの間がずっと深くなるように描いた。この線はずっと続いて後頭部もそれに比例していなければならないが、盛り上がり過ぎないように。

最後にマスクのスポットについて述べる。

生きているセキセイインコからの測定値を基にして、マスクを図面の通りに配置した。と言うのは、今までの”標準”はすべてマスクが、短すぎ、スポットは、小さすぎて味がないと言う結論に達したから。

これらの点に欠点を持つなら、他の点がいかに立派になっていても、いっぺんにショーバードを駄目にしてしまうほどである。多くの人が好んで用いる”パンチ”とか”衝撃”と言ったものもかけた鳥になる。直径8.0mmのスポットを持った鳥も居るが、ちょっと見苦しい6.0mmとか、それ以下では、ちょっと味に乏しい。
だから、7.0mmを採用したら、見たとおり、非常によくなった。

結論

最大の困難は、頭の輪郭(側面)図に、関するもので、この点を正しくするため数え切れないほどの絵を描いた。始めに指摘したように、鉛筆の線の幅がすべてを間違って見えるようにするし、形がみすぼらしくなる。前に記述した線に沿っての目の位置を私自身の望みとこの頭の形が正しくつりあうようにした。エリックピーク氏の個人的提案を受け入れた後で、BS理事会は、背部の線にもっと沿うように、尾の端を1/8インチ(3.1mm)持ち上げることを要請している。

参考図 (日本セキセイ協会)

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